みずのわクラブin与論島

内容

「みずのわクラブin 与論島」は、与論島の水環境について科学的に理解し、健全な水循環のあり方について考え、実践していく取り組みです。

本事業は、国立研究開発法人 科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」における、市民参加型島嶼コミュニティ・環境影響評価モニタリングの調査支援を受けて実施しました。

水をめぐる問題とは?

与論島をふくむ亜熱帯諸島において、水資源はとても貴重です。

近年の居住・観光人口の増加に伴って土地利用が進み、地下⽔や湧き水の塩⽔化・枯渇化、飲み水用水源の⽔質悪化、農業用水や観光⽤水の不⾜、水質悪化による生き物や農作物への悪影響など、さまざまな問題が起きてきています。

与論島の水の流れを知ろう

与論島はサンゴの骨が積み重なった石灰岩でできています。石灰岩はすきまがたくさんあり、水を通しやすい性質があります。

また与論島のように標高が低く、石灰岩質を基盤とする島では、海底湧水(正式名称:海底地下水湧出)が見られます。

とくに与論島東海域は地質的に地下水が溜まりやすいため、海底湧水のポイントが多いと言われています。

水をめぐる問題を解決するためには、上記のような島特有の⽔の流れ(水循環)を科学的に把握し、⼈間活動が環境に与えている影響を理解する必要があります 。

水環境について考えよう

近年、サンゴ礁の衰退が報告されています。

サンゴ礁衰退の原因は、海水温上昇によるサンゴの白化や海洋酸性化なども挙げられますが、赤土流出や生活・農業排水による富栄養化など、地域由来の原因も少なくありません。

陸と海とは地下水を介してつながっています。

わたしたちの暮らしや選択が、直接海へ影響していくと言えるでしょう。

みずのわクラブでは、与論島の水環境を把握し、健全な水循環につながる行動を選択できるよう、勉強会や調査、体験学習に取り組みました。

取り組み時期

2020年12月〜2021年3月

対象

与論島在住者、小学生

助成/委託元

国立研究開発法人 科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」における、市民参加型島嶼コミュニティ・環境影響評価モニタリングの調査支援(通称:"SOLVE for SDGs")の助成を受けて実施しました。

みずのわクラブの成果

サイエンスレクチャーの開催

与論島の水環境に関する勉強会「サイエンスレクチャー」を全4回開催しました。

  • 第1回「与論島の地下水を介した陸と海のつながり」
  • 第2回「与論島の成り立ちと地質」
  • 第3回「科学コミュニケ―ションを学ぶ」
  • 第4回「科学と島の未来をつなぐ:地域住民参加型モニタリング設計」

報告書は以下よりご覧いただけます。

みずのわクラブ壁新聞(2021年9月)

みずのわクラブ壁新聞(2021年11月)

与論の子ども達と地下水を調べよう!「スプリングスクール」

与論島内の親子を対象に、水について学ぶスプリングスクールを開催しました。

「わたしたちの水はどこからきている?」「地下水の水質を調べてみよう」をテーマに、与論島の模型を見ながら水の流れを学んだり、パックテストを用いて地下水の水質チェック実験を行いました。

八重瀬町とオンライン交流会 水質の違いを見てみよう

与論島と同じようにみずのわクラブを実施している沖縄県八重瀬町のみなさんと、オンラインを通した交流会を実施しました。

八重瀬町の水環境について学んだり、互いの水質調査の結果を比べたりしました。

地質環境が似ている与論島と八重瀬町ですが、利用の仕方によって水質も異なっています。

他地域とのコミュニケーションを取ることで、水環境についてより理解を深めることができ ました。

地下水の採水と測定

与論島の全6地点で、地下水の採水と対象項目に関する測定を行いました。

「瀬呂加」「皆田」「東部」「ヤゴ―」「ハミゴー」「源手名」にて採水し、水質調査を行いました。

所感

今後も引き続き、地域の水環境について関心を持つ機会を提供していきます。